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第6回 先進医薬研究報告会

先進医薬研究報告会

 2022年12月9日(金)ザ・プリンスさくらタワー東京2Fコンファレンスフロアを配信会場として、第6回先進医薬研究報告会を開催いたしました。
 2022年度もCOVID-19感染対策のため、オンライン開催とさせて頂きました。座長の西川伸一先生、先進研究助成の成果報告を頂いた小室一成先生とCOVID-19関連特別研究助成の成果報告を頂いた松下修三先生には会場にお越し頂き、理事長、常務理事、事務局メンバーがお迎えしました。また、COVID-19関連特別研究助成の成果報告を頂いた星野温先生はオンラインにて参加頂きました。
 本会の開催に際し、オンラインの利点を活かし多くの先生方に開催のご案内ができました。結果、師走のお忙しい時期にも関わらず100名以上の先生方にご視聴頂きました。
 本会のプログラムは、以下の構成と致しました。
開催日:2022年12月9日(金) 14:00 ~ 16:15
開催形式:Zoom オンライン形式
配信場所:ザ・プリンスさくらタワー東京
1. 開会の辞 14:00 ~ 14:05
2. 今年度応募状況、若手継続助成受賞者等の発表 14:05 ~ 14:20
3. 研究成果発表 14:20 ~ 16:10
座長 京都大学名誉教授 西川 伸一 先生
1) COVID-19 関連特別研究報告 ①(14:20 ~ 14:50)
『人工知能ガイド指向性進化スクリーニングによるウイルス高親和性ACE2 変異体作製』
 京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科学 講師 星野 温 先生
2) COVID-19 関連特別研究報告 ②(14:50 ~ 15:20)
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制圧を目指したヒト中和単クローン抗体の作成』
 熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 臨床レトロウイルス学分野
 特任教授 松下 修三 先生
休憩(15:20 ~ 15:30)
3) 先進研究報告(15:30 ~ 16:10)
『心不全の予後を規定する心筋DNA 損傷の機能的意義の解明』
 東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授 小室 一成 先生
4. 閉会の辞 16:10 ~ 16:15
 林理事長より開会挨拶として、財団の沿革および2022年度の助成事業について紹介されました。
 引き続き先進研究助成および若手継続助成受賞者の発表に移りました。理事長より受賞者の氏名、所属、研究課題が紹介されました。
【第6回 先進研究助成】
氏  名 : 猪原 匡史 先生
所  属 : 国立循環器病研究センター脳血管部門 脳神経内科
研究課題 : 脳梗塞の発症を促進する東アジア特有の遺伝・環境要因の解明
【若手継続助成】
分  野 : 精神薬療
氏  名 : 北西 卓磨 先生
所  属 : 東京大学大学院総合文化研究科 先進科学研究機構
研究課題 : 記憶情報の脳内伝達とその破綻・回復のメカニズム
分  野 : 血液医学
氏  名 : 藤原 隆行 先生
所  属 : 東京大学医学部附属病院 循環器内科
研究課題 : 時空間的マルチスケールイメージングによる難治性循環器疾患の病態解明
分  野 : 循環医学
氏  名 : 平出 貴裕 先生
所  属 : 慶應義塾大学医学部 難治性循環器疾患病態学寄附研究講座
研究課題 : 遺伝子変異に起因する全身性難治性血管病の病態解明と新規創薬ターゲットの探索
 受賞者の発表に続いて研究成果報告が行われました。今回は、COVID-19関連特別研究報告および先進研究報告ともに当財団理事の西川伸一先生(京都大学名誉教授)に座長を務めて頂きました。
 まず、COVID-19関連特別研究報告の一題目としてオンラインにて星野温先生(京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学 講師)より、『人工知能ガイド指向性進化スクリーニングによるウイルス高親和性ACE2変異体作製』についてご報告頂きました。
 高親和性ACE2製剤は新型コロナウイルスの感染受容体であるACE2を利用したウイルス中和タンパク質製剤で、ACE2変異体にIgG1-Fcを結合している。モノクローナル抗体ではウイルス変異により中和活性が消失するウイルス逃避変異が問題となるが、本製剤と結合しなくなった変異ウイルスは細胞表面のACE2とも結合できず感染力を失うため実質問題とならない。COVID-19ハムスターモデルおよびカニクイザルにおいて肺炎抑制効果が確認された。このように高い有効性と安全性を兼ね備えた高親和性ACE2製剤はウイルス逃避変異を克服する新たな治療モダリティとして期待される、というご報告でした。
 次いで、研究報告会前に海外出張に行かれ、ご帰国された日に真っ直ぐ会場へお越し頂いた、松下修三先生(熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター臨床レトロウイルス学分野 特任教授)に『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制圧を目指したヒト中和単クローン抗体の作成』のご研究を発表頂きました。松下先生におかれましては、ジェットラグの上にお疲れの処、本当にありがとうございました。
 松下先生のご発表は、先行する中和抗体製剤には一定の効果が報告されているが、最も必要とされている入院が必要な中等症~重症の症例への効果が認められていない。また、500~1200mgという高用量が用いられ、コスト面に課題を抱えている。一方、9-105抗体は、1mg/kgの低用量の投与で有効性が期待でき、より多くの症例に用いることが可能となる。9-105抗体投与によって、変異株に対しても有効な状態を作り出すことができると考えられ、重症化阻止に加えて家族内感染の阻止も期待される、とのご報告でした。
 先進研究助成の成果報告として、小室一成先生(東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授)に『心不全の予後を規定する心筋DNA損傷の機能的意義の解明』をご発表頂きました。
 本研究の目的は心不全の病態を解明し新たな治療法を開発することである。本研究により、圧負荷は心筋細胞においてDNA損傷を誘導し心不全を惹起すること、DNA損傷の程度が心不全の薬剤反応性および予後を規定していること、DNA損傷を減らすことが心不全治療になる可能性のあることが明らかになった、と結ばれました。
 閉会の辞において、2023年度の助成計画が発表されました。COVID-19関連研究については、一定の役目を果たしたとの判断により助成を終えることとし、先進研究助成1件、3分野各々において研究助成31件および海外留学助成2件を計画していることを公表いたしました。

 最後に今年度の助成対象になられました先生方のお名前、ご所属、研究課題をエンドロールで紹介させて頂きました。

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