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第43回 研究報告会

精神神経系薬物治療研究報告会

 去る平成22年12月3日(金)午後1時より千里ライフサイエンスセンター(大阪府豊中市)にて、 恒例の「精神神経系薬物治療研究報告会」が行われました。当日は、前年度助成金受領者の先生方、 当財団役員の先生方他74名のご参加を頂き熱心に聴講、討議を繰り広げて頂きました。
 最初の萌芽研究助成口演はライフホールにて名古屋大学の尾崎紀夫先生(選考委員)、 一般研究助成口演は昭和大学の加藤進昌先生(評議員)の座長のもと各々5名の先生方に発表をして頂き、 会場は従来にも増し熱心な質問が飛び交い議論が続けられました。
 その後のポスター発表では5つのパートに分かれ、22名の先生方に発表を頂きました。 それぞれの座長は千葉大学の伊豫雅臣先生(選考委員)、鹿児島大学の佐野 輝先生(元選考委員)、 九州大学の神庭重信先生(評議員)、近畿大学の白川 治先生(選考委員)、 和歌山県立医科大学の篠崎和弘先生(元選考委員)にお願いいたしました。活発な討論が繰り広げられ、 ご苦労なさった研究の成果をうかがい知ることが出来ました。
 最後に特別講演がライフホールにて行われました。大阪大学大学院医学系研究科教授の武田雅俊先生 (評議員)の座長にて、東京医科歯科大学医歯学総合研究科教授の西川 徹先生(評議員)に講演を頂きました。 演題は「統合失調症発症の分子機構-なぜ思春期以降なのか-」と題し、「統合失調症はなぜ思春期以降に発症するのか」 という発達的視点から本症の分子機構へのアプローチを試みている点につきお話し頂きました。発達神経科学的仮説に基づき、 統合失調症に関連する新規候補分子として、DA作動薬MAPあるいはNMDA受容体遮断薬PCPを投与した ラットまたはマウスの大脳新皮質または視床において、臨界期以降に発現が変化する遺伝子を、 RAP-PCR(RNA arbitrarily primed PCR)またはDNAマイクロアレイを用いて探索した。 統合失調症の発達神経科学的仮説から予測した、統合失調症様異常発現薬に対して、 一定の発達期?臨界期?以降に成熟期型の応答を獲得する脳部位と遺伝子が見出されたことは、 統合失調症特異的に関係する神経回路または分子カスケードや、思春期発症の要因を解明する 手がかりになることが期待されると締められた。
 場を千里ホールに移し、「交見会」が夕刻より開催されました。沢山の先生方がお疲れにもかかわらず ご参加して下さり、遅くまでご歓談を頂き、本年度の研究報告会は盛会裏に終了いたしました。

会場 西川 徹教授
会場 西川 徹教授
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