当財団の精神薬療分野の平成26年度助成金受領者に研究成果を報告していただく、第48回精神神経系薬物治療研究報告会を平成27年12月4日(金)に千里ライフサイエンスセンター(大阪)で開催いたしました。
今回は、一般研究助成金受領者24名、若手研究者助成金受領者10名の中から口演発表8題、ポスター発表22題、及び国際医療福祉大学病院教授の三國雅彦先生による特別講演がありました。
強風による交通機関の乱れにより、当日発表できなかった方もおられましたが、発表者・共同研究者及び財団関係者並びに聴講の方々を合わせて約70名の参加がありました。
研究報告会の開会にあたり当財団の村松実理事長より挨拶があり、精神薬療分野における助成の目的やこの研究報告会の特徴、期待を述べられました。
(村松実理事長 挨拶) | (口演会場) |
---|
口演発表では、尾崎紀夫先生(評議員)を座長に統合失調症関連、気分障害関連、うつ病関連、認知症関連が各1題ずつ発表されました。
座長:尾崎紀夫先生 | 演者:鳥塚通弘先生 (奈良県立医科大学) |
演者:扇谷昌宏先生 (九州大学) |
演者:小川眞太朗先生 (国立精神・神経医療 研究センター) |
演者:松村律子先生 (山口大学) |
---|
さらに座長を武田雅俊先生(理事)に交代し、統合失調症関連2題、抗精神病薬関連1題、認知症関連1題、が発表されました。
座長:武田雅俊先生 | 演者:太田深秀先生 (国立精神・神経医療 研究センター) |
演者:木下誠先生 (徳島大学) |
演者:坂寄健先生 (日本医科大学) |
演者:西尾慶之先生 (東北大学) |
---|
特別講演は、樋口輝彦先生(理事)に座長をお願いし、三國雅彦先生(理事)に「うつ病の診断補助バイオマーカー」というタイトルでご講演を頂きました。
三國先生ははじめにうつ病の診断の精緻化を図ると同時に患者本人や家族に症状の重症度の客観的な情報を提供する観点から診断補助マーカーの重要性を述べられました。
具体的な診断補助マーカーとしてPETによる脳画像、近赤外線スペクトロスコピーを用いた研究を紹介された後、分子遺伝学的手法により、若年発症うつ病と中高年発症うつ病の白血球に発現するmRNA量を比較し、うつ状態依存的な遺伝子群(CIDEC、SLC36A1、RNS1 、STYXL1)を見出したこと、中でもCIDECは、うつ状態との感受性や特異性が非常に高いという研究成果を紹介されました。今後も研究者としてうつ病の診断補助マーカーの研究を継続したいとの抱負を述べられ講演を終了されました。
座長:樋口輝彦先生 | 演者:三國雅彦先生 |
---|
特別講演に続いて5パートに分かれてポスター発表が行われました。岸本年史先生(選考委員)、白川治先生(評議員)、小山司先生(理事)、篠崎和弘先生(前選考委員)、松永寿人先生(選考委員)に座長をお願いいたしました。
統合失調症、気分障害、認知症、発達障害等の病態解明や診断方法、新規治療法の開発をテーマーに分子遺伝学的手法、生化学的手法、生理学的手法、脳画像等を用いた研究の発表があり、また活発な討議が行われました。口演、ポスター発表を通じて、今回は気分障害関連の研究発表が多かったことと、発達障害関連の研究発表が増加したことが印象的でした。
ポスター会場 | ポスター会場 |
---|