研究者名 | 所属機関 | 研究課題 | 助成額 (万円) |
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小室 一成 アブストラクト 研究報告書 | 東京大学医学部附属病院 循環器内科 | 心不全の予後を規定する心筋DNA損傷の機能的意義の解明 | 1,000 |
人口の高齢化に伴って心不全患者が急増しているが、その予後・治療応答は患者によって大きく異なる。心不全の予後規定因子を同定してその機能的意義を解明することが臨床上特に重要である。我々は、心不全患者の心臓組織のsingle-cell RNA-seq解析により、予後の悪い心不全患者が特異的に有する不全型の心筋を同定し、その細胞はDNA損傷応答を生じていることを明らかにした。そこで我々は、心不全患者に対してDNA損傷により増加するPoly ADP-Ribose(PAR)について生検組織を用いて染色し、臨床経過の統合解析を行ったところ、薬物応答不良群で有意にPAR陽性率が高く、感度81.5%・特異度87.1%で薬物応答性を予測できることを見出した。すなわち、我々は心筋DNA損傷が予後規定因子であることを明らかにし、DNA損傷を指標とすることによって心不全患者の薬物反応性を予測できることを示した。 |